「春分の日」3月20日は、自然をたたえ、生物を慈しむ日とされています。春のお彼岸には、ぼた餅をお供えしますが、幼い頃、叔母がよく手作りのぼた餅を作ってくれました。そのきめ細やかなこし餡のなめらかさは格別で、口の中に広がる甘さは幸せ満点!どんな高価な和菓子にも負けない愛情溢れるお味でした。
今月は桃の節句に始まり、桜もほころび始め春の訪れはもうすぐです。野山の山菜のほろ苦さも、春のお料理には欠かせない味わいです。
又、娘達若い世代にも伝えておきたいことがたくさんあります。和の器の扱い方や器の取り合わせ、この季節にふさわしいお料理のことなど・・・。雛祭りは、まさにそういった日本の文化を若い人達に自然に伝えられる何よりの機会です。
吉村さんからは「 21BY車坂 純米中取り原酒 」をお送り頂き、「春爛漫会席膳」をお楽しみ頂きます。
お献立は、春の息吹を感じる「
たらの芽とささみのかき揚げ
」
桜の花の塩漬けを忍ばせ、目で舌でより一層の春を味わって頂きます。
牛肉でボリュームアップの野菜たっぷり「
牛肉入りボリュームきんぴら
」、
お椀をあけると春の香りで心弾む「
海老しんじょうのキャベツ包みで春のお椀
」の3品です。
1.
今月は、弥生の節句「雛祭り」をテーマにしつらえを楽しみました。
飾り棚には私の初節句のお内裏様とお雛様を、お玄関には、娘の初節句に婚家と実家の二人の母が描いてくれた、お軸と屏風を飾りました。屏風には、とてもとても愛らしい貝合わせの豆雛を添えてみました。
黒の塗り盆は100歳になる祖母が愛用していた盆石を描くお盆です。祖母・母・娘 私を支えてくれる4代にわたる歴史のお飾りです。
- 娘の初節句に婚家の母が描いてくれたお軸
- 私の初節句のお内裏様とお雛様
- 娘の初節句に実家の母が描いてくれた屏風と貝合わせのお雛様
- 骨董の朱盆に一刀彫のお雛様と桃の花を活けた骨董籠
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テーブルコーディネート
掘り出し物を見つける楽しい場所の一つに「道具屋筋」があります。
ここでのお買い物は目を凝らながらアンテナをいっぱい張り巡らせると、「あなたにお嫁入り致します。」と訴えかけてくるのです。先日、私を呼びとめてくれたのは、「六角のお盆」、黒と朱の二色の表裏になっています。決して上質のものではありませんが、普段使いには最適です。
プロが求める道具屋筋は在庫が50ケ以下になると、うんと値段が下がります。これも賢いお買い物術の一つです。
今月はこの六角盆の朱がテーブルに華やかさを添えてくれました。新作の深みのある角皿に「春の八寸盛り合わせ」を彩りよく、かき揚げは中央市場の籠屋さんで見つけた手付きの籠に盛り付けました。
「海老しんじょうのキャベツ包みで春のお椀」は、母から譲り受けた輪島の桜の蒔絵が素晴らしいお椀で優しく供しました。春の和食は、器選びを愉しむだけでも遊び心が弾みます。
では、和のテーブルコーディネートをお楽しみ下さい。
<分量> 4人前 | |
たらの芽(ふきのとう) | 1パック |
ささみ | 2〜3本 |
桜の花の塩漬け | 適量 |
天ぷら粉 | 45g |
炭酸水 | 60cc |
揚げ油 |
桜の花の塩漬け
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ささみは1cmの角切りにし、軽く塩をふっておく。 |
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たらの芽は固い部分を切り取り、縦2〜4等分に切る。 |
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桜の塩漬けは軽く水洗いし、手で絞り、みじん切りにする。 |
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天ぷら粉に少しずつ炭酸水を混ぜ合わせ、1.2.3.を混ぜる |
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油を180℃に熱し、4.をスプーンですくいサクッと揚げる。 |
<分量> 4人前 | |
牛赤身こま切れ | 150g |
ごぼう | 1本 |
れんこん(細め) | 10cm |
パプリカ(赤・黄) | 各1/2ケ |
ピーマン | 2〜3ケ |
セロリ | 1本 |
太白胡麻油(またはサラダ油) | 大さじ 1〜2 |
【A】 | |
砂糖 | 大さじ 1 |
日本酒・みりん | 各大さじ 2 |
【B】 | |
すり胡麻・煎り胡麻・七味 |
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牛肉は1.5cm幅に切る。ごぼうはささがきにして、水にさらしてアク抜きする。れんこんは皮を剥き薄切りにし、酢水にさらしアク抜きする。ごぼう・れんこんは水気を切りキチンペーパーで余分な水気をしっかり拭き取る。 |
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パプリカ・ピーマンはせん切りにし、内側の水分をしっかり拭き取る。セロリは皮を剥いてせん切りにする。葉もざく切りにしておく。 |
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フライパンに太白胡麻油を熱し牛肉を炒め、一度取り出し、油を少し足してごぼう・れんこん・パプリカを炒め、ピーマン・セロリを加え、牛肉を戻し【A】で調味し、セロリの葉をくわえ、【B】をふる。 |
<分量> 4人前 | |
むき海老 | 150g |
はんぺん | 1/2ケ |
【A】 | |
生姜汁 | 少々 |
日本酒 | 少々 |
卵白 | 1/3ケ |
片栗粉 | 小1 |
春キャベツ | |
菜の花 | |
しめじ | |
【B】 | |
出し汁 | 3カップ |
薄口醤油 | 大1 |
塩・酒 | 各少々 |
ゆずの皮(または木の芽) |
プリン型や湯飲みなどに入れて
蒸し器で15分ほど形よく蒸す。
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むき海老は粗く刻んでフードプロセッサーにかけ、はんぺんも角切りにして加えて混ぜる。 |
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1.に【A】を加えてフードプロセッサーを回し、なめらかな生地を作る。 |
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春キャベツはサッと塩茹でして、包み易い大きさに切っておく。 |
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2.のしんじょうの生地を丸めてキャベツで包み、プリン型や湯飲みなどに入れて蒸し器で15分ほど形よく蒸す。菜の花も塩茹でし、冷水に放ち、水切りする。 |
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しめじは石づきを取り小房に分ける。 |
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鍋に【B】を入れて煮立て、5.のしめじを加えて煮る。菜の花もさっと温め、お椀に4.のしんじょうを盛り、しめじ・菜の花も盛り、吸い地をはって、ゆずの皮を添える。 |
身土不二と春野菜
- 身土不二(しんどふじ)とは
人間は今まで進化(成長)してきた土地の食べ物や環境で生活することが一番適している、
という考えです。
日本人も日本の土地や食べ物で生きられるように体の機能が進化してきました。
化学合成品がいっぱいの食べ物や 輸入食材、季節はずれの食材は私達の体には馴染みにくく、反って健康を損なうことが多いように思われます。
- 「春には苦味を盛れ!」
春野菜に含まれる苦味(アルカロイド)は冬の体を目覚めさせると同時に冬に溜まっていた老廃物を排出させる働きがあります。
このように旬の物には薬効がいっぱいです。
アスパラガスやウド タラの芽など春野菜はアク(苦味)を抜きすぎないほうがいいですね。
料理教室「せんの会」に通う、管理栄養士 藤田みや子さん
本日、皆様に生山先生お薦めの料理と供に試飲していただいたお酒です。
21BY車坂 純米中取り原酒
原材料 米(玉栄) 米麹
アルコール度 18〜19度
酸度 1.8
アミノ酸度 1.4
日本酒度 +2
保存 冷蔵
本年度、最初の小仕込み純米酒です。
「901号」酵母にて仕込みました。米の旨味を十分に堪能していただけるように和歌山県産の玉栄は麹米、掛米とも65%の精白歩合にとどめております。
新酒のため、酒の硬さも残っておりますが、搾りたての一番おいしい中取り原酒だけを蔵の香りとともに瓶詰めしました。
無濾過生原酒の飲みごたえと幅のある旨みを味わっていただけます。荒々しい新酒の硬さ、後半にわずかに感じる渋味と酸の余韻がこの酒の将来性を感じさせます。
一本は今日味わい、もう一本は、ご自宅の冷蔵庫で秋まで寝かせば、春、初々しさの残る酒が秋には力強い成長を遂げていることに驚かれるでしょう。
今月の旨口シスターズです。お酒と料理の感想をききました。
a.kさん | 飲みやすくお酒が苦手な私も美味しくいただけました。 |
モアナさん | スッキリさわやかでとっても飲みやすく、ついつい飲み過ぎてしまいそうなお酒ですね。 |
Kさん | 冷たくしていただきました。フルーティーな味わいと、後味のお酒の味わいがとてもおいしかったです。 |
えっちゃん | 冷酒も常温酒もおいしいです。のどごしは冷酒、風味は常温、少しきれがあり飲みごたえもあります。私はあまり日本酒はたしなみませんが、これから少し勉強します。 |
T.Hさん | 風味豊かな香りと、ほどよくしっかりした飲み口でおいしく頂きました。秋まで寝かせると成長するなんて、お楽しみが増えて良いなあと思いました。 |
M.Mさん | 非常に飲みやすく和食にとても合いました。口にふくんだ時に旨みが広がりました。 後味がとても良いお酒でした。 |
Kiyoさん | 常温と冷やした物との差が少なくおいしく頂けました。すっきりととのったお酒もおいしいですが、完成されていない素材の持ち味を楽しむことが出来ました。 |
Norikoさん | 常温と冷たくした車坂の両方を頂きました。冷たい方は喉を通った後、口の中に何とも言えないお酒の後味を感じました。常温の方は何杯でもおかわり出来そうでフルーティーでした。 お教室では立派なおひな様が優しそうに見つめて下さっています。家に帰って我が家のおひな様に甘酒もいいですが車坂もお供えしてみようかな?と思いました。 |
寺さん | きんぴらとの相性も大変良く美味しかったです。 |
ヤンマさん | 昨年夏より「車坂」のファンです。前回とまた違ったきりっとした味を楽しめました。 |
T.Fさん | 今回のお酒は私にとって少し甘口だったように感じます。お酒のことはよくわかりませんが、さっぱりしているお味の方がお料理にはあうように思いました。 |
N.Mさん | お酒は辛口ですが、口当たりが良く、お昼から進みました。お椀・きんぴら・たらの芽のかき揚げなどにも、相性が良く、きんぴらもおかわり致しました。夜なら もっと進んだかもしれませんね! |
Rieさん | やや辛口のお酒ですが、きんぴらやかき揚げと相性がよかったと思います。 |
泉佐野 Uさん | さらりとした口当たりで、春の陽ざしを想うさわやかな後味で、きんぴら等の少し濃い味にとてもよく合います。 |
musakoさん | 桜の塗椀に春を呼ぶ海老しんじょう、さわやかな口あたりの車坂がよく合います。秋まで寝かせれば熟成されて大人向きになるとのこと。季節に合わせて変化を楽しめる日本酒だと思います。 |
Mi-raちゃん | 今回、中取り原酒って聞くのも味合うのも初めてでした。とても、ピュアな味でさっぱりした旨味が、口いっぱいに広がります。「牛肉入りボリュームきんぴら」の様なパンチのある味にも相性バツグン!薄味のお椀でもOK!お惣菜にあうので普段のお食事のお伴にお勧めです。 |
M.Nさん | とろっと甘くて、まったりと何のお料理でも合う、飲み易いお酒でした。 |
あららさん | 甘いお酒で美味しかったです。麹の香りが残り、熟成した状態も味わってみたいと思いました。 |
Yさん | 苦みの少しきいた春のお味のかき揚げに、すがすがしいお酒をひと口。具たくさんで味がしまったきんぴらに、ほんのり甘味のあるお酒でひと口。優しい海老しんじょうのお椀で締めて、さっぱりのお酒をひと口。 美味しい春のお席でございました。 |
ココッとさん | 後味すっきりで、もう一杯飲みたくなるお酒でした。熟成される秋が楽しみです。 |
1000個ちゃん | さわやかでとても飲み易いお酒でした。 |
少女のような私さん | 「中取り原酒」初めて頂きました。もともとお酒があまり頂けませんが、香り豊かなさっぱり感が気に入りました。春のお献立にも相性ピッタリでした。
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生山久陽先生 自宅にお客様をお招きしているうちに「料理を教えて欲しい」と言われて、「せんの会」料理教室を開くことになった生山さん。教室では、食を通じて「おもてなしの心」を伝えたいと、料理のアイデアばかりでなく、その料理を活かす器や季節のしつらえのコーディネートも楽しめる。隠れ家レストランのような教室は、癒しの空間でもあり、日常に新たなスパイスを与えてくれる。 このコラムでは、毎回、当店のお酒と先生の食にまつわるアイデアがコラボし、たくさんの生徒さんといっしょに食に関する「アハ」体験を提案します。 |
(2010年3月掲載)