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第六十三便「日本酒の澱について」

アルコールの精である蒸留酒(スピリッツ)とは違い、豊富なエキス分でそれぞれの原料に由来する旨味が味わえるのが醸造酒の特徴です。

ワインボトルは澱(おり)の沈殿を予想して、山型の底になっており、そのボトルの底に溜まっている赤ワインの澱はみなさんもよくご存じだと思います。
この澱の成分は主には、ポリフェノール化合物(特にタンニン類)が重合作用を起こし、年月を経てワインに溶けきれなくなり沈殿したものです。赤ワインのよけいな味の凝縮物なので飲んでも美味しくないのですが、もちろん体に悪い成分ではありません。

赤ワインのボトル底に溜まった雲のような澱
赤ワインのボトル底に溜まった
雲のような澱


白ワインはタンニン等の渋み成分が少ないため澱も起こりにくいのですが、長期貯蔵により沈殿した酒石酸類の結晶やたんぱく質の微粒子が澱となります。
白ワインの澱は時にはクレームとして扱われる場合もありますが、味・香りに問題のないこの澱はワイン通には「ワインのダイヤモンド」とさえ呼ばれ、旨みの塊として珍重されます。

赤・白両方とも長期熟成に耐える高級ワインほどその独特な風味を損なわないようにほとんど濾過をかけません。そのため、このような澱が出やすくなると言われています。

白ワインのボトル底に、うっすら霧のような澱
白ワインのボトル底に、
うっすら霧のような澱


一方、日本酒の場合は戦中や戦後の高度成長期に日本酒不足になり、国家主導のもと、画一的な味・外見の日本酒が求められました。
その基準では日本酒の色、にごりなどはマイナス要因とされたため、過去には日本酒本来の色である黄金色を質の悪い日本酒と勘違いし、無色透明な日本酒を求められる方々も大勢いらっしゃいました。
しかし、最近は日本酒の色についての認識が広まり、黄金色を気にせず、むしろ楽しむお客様も増えています。

ところが、透明感に関しては、『白ボケ』(たんぱく混濁:ワインではダイヤモンドとも呼ばれるのにボケとはなんとも情けない表現ですが・・・)と言われ、まだまだ旨みの凝縮したエキスの微粒子であるとの認識は広まっておりません。これは外見上似通った白濁現象が火落ち菌の感染(管理不十分な状態での雑菌感染)でも起こるからです。

麹振りの様子
日本酒の瓶底に溜まった澱


同様の白濁現象ですが、味をくらべてみれば一目瞭然です。
たんぱく混濁である白ボケは旨み成分のたんぱく質微粒子ですから、その日本酒の味・香りに問題はなく、旨みの詰まった良い酒と言えます。

一方、火落ち菌による白濁は、細菌感染ですから飲めば臭いや味に当然違和感があります。
さらに白ボケ(たんぱく混濁)は熱を加えると消失するので、お燗をすると透明感がでてきますが、火落ち菌による白濁は酒の変質なので熱を加えても濁ったたままです。

味乗りした熟成酒が市場にたくさんでまわるようになりました。
今後は酒の色と同様に白ボケ(たんぱく混濁)についてもお客様の認識が変わってくるものと期待したいです。

なお、たんぱく混濁を防ぐためには「おり下げ」と言ってこのたんぱく質を取ってしまう方法がありますが、これを行うことによって「おいしさ」につながる成分まで取り除いてしまうため、当社では可能な限り「おり下げ」を行っていません。
米の旨味を十分に引き出すように麹を造っており、さらに酸と旨味のバランスが整うまで瓶貯蔵で熟成しています。従って長期熟成により澱が出やすくなっております。
お客様においてはその点をご理解の上、当社の日本酒の旨さをご堪能ください。


それにしても(^^;)
白ボケ・・・なんともなさけない表現ですが、なにかイメージアップの言葉はないでしょうか? 
このようなマイナス表現が日本酒では特に多く、日本酒の価値を自ら落としているような気がするのですが、日本酒業界に長くいるとこのような表現も当たり前に感じるようになってきます。

ネーミングセンス抜群のみなさんで旨みの塊である白ボケ(たんぱく混濁)のすばらしい表現を考えてください!





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